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イライラ

ハイリスクの巨大組み体操――警告のなかで起きた八尾市中学校の事故

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ハイリスクの巨大組み体操――警告のなかで起きた八尾市中学校の事故

http://bylines.news.yahoo.co.jp/soichiromatsutani/20151002-00050074

松谷創一郎http://bylines.news.yahoo.co.jp/soichiromatsutani/

「事件」相当の八尾市立中学校の事故

「事件」相当の八尾市立中学校の事故

9月30日、社会学者の内田良さんがYahoo!ニュース個人で掲載した記事「10段の組体操 崩壊の瞬間と衝撃」が、大きな波紋を投げかけた。これまでにも内田氏は組み体操の危険性を幾度も伝えていたが、それにもかかわらず学校の体育祭で事故が起きてしまったのである。

今回の内田氏の記事がそれまでに増してインパクトがあったのは、そこにYouTubeの事故映像へのリンクが貼 られていたからだ。それは極めて衝撃的な映像だ。100人以上で10段に積み重なった6~7メートルの高さの人間ピラミッドが、一瞬のうちに崩れ落ちる。 さらにその後、ひとりの生徒が教員に連れられて退場していく。その生徒の右腕は、おかしな方向に曲がっている。それがひどい骨折であることは、この映像で すでにわかっていた。

 https://www.youtube.com/watch?v=RZuz8vcCN2s


まず、八尾市に隣接する大阪市では、今年から組み体操は人間ピラミッドを5段まで、タワーを3段までに規制することを教育委員会が決めた。このとき、橋下 徹大阪市長も明確に「賛成です」と回答している(2015年9月3日の定例会見)。つまり、高層の組み体操(人間ピラミッド)のハイリスクは、報道もあっ てここ数年でかなり周知されつつある。しかし、八尾市のこの中学校ではそれを押し切って実行した。 

さらに問題があるのは、練習では一度も成功していなかったということだ。それにもかかわらずこの中学校は巨大な人間ピラミッドを決行し、大怪我を負う生徒が出てしまった。

内田良氏の分析

すでに報道でも指摘されているように、組み体操での事故はとても多い。2013年度では、全国の小・中・高であわせて約8500件も起きている。このとき内田良氏が著書『教育という病』などで指摘する問題は、大きくわけて3つある。

ひとつが、事故発生件数の多さだ。組み体操の事故発生件数は跳び箱、バスケットボールに次ぐ多さである。

次に、頭部や頚部、腰部など重大な怪我や障害に繋がる可能性の高い部位での怪我が多いのも特徴だ。跳び箱やバスケットボールで多いのは指や手首などの怪我だが、頭や首、腰の怪我は組み体操が有意に多い。

もうひとつが、組み体操は文科省の学習指導要領に掲載されていない、学校独自の取り組みだという点だ。よって、そもそも組み体操が行われて いる期間や学校は限られている。今回の事故のように、その多くは体育祭(運動会)やその練習ために行われる。昨今の巨大ピラミッドなどは、これまでのソー ラン節に取って代わるブームになっているそうだ。すべての学校で行われていないにもかかわらず事故件数が多いということは、つまり事故率が極めて高いこと を示唆している。 

組み体操を推進する教員団体

一方、こうした組み体操を積極的に推進する教員も多い。内田氏の同前書によると、その中心にあるのは、大阪教育大学付属池田小学校に事務局を構える関西体育授業研究会だ。2011年に発行されたその研究通信では、「上から児童が降ってくると、逃げ場がないので、数人を巻き込んだ大きな事故になる恐れがあります。過去に一度に4人骨折という事故もありました」と、その危険性を十分に認識していることがわかる(※1)。

しかしそれでもなお、巨大な人間ピラミッドは拡がっていった。そこには教員たちの強い思いがある。同じく関西体育授業研究会の会報には、こうした言葉が並んでいる。 

組体を通して子どもたちに学ばせたいことが

あります。

・一生懸命に取り組むこと

・仲間を信頼すること

・苦しさつらさを乗り越えること

それらはこれから先、子どもたちが生きていくうえで必ず身につけておいてほしいことです。

本番まで短い練習期間の中、毎回目標をもって組体に取り組む。そのことが単なる技の

完成ではなく、人としての完成を促すこととなるのです。

技だけでなく心を鍛える。

それが組体です。

出典:関西体育授業研究会『Improve』No.57(2011年8月24日)

「一生懸命に取り組むこと」や「仲間を信頼すること」、「苦しさつらさを乗り越えること」は、他の種目でも可能

巨大ピラミッドを啓蒙する教員

年々、高層化・巨大化する人間ピラミッドでは、 ひとりのキーパーソンがいる。それが兵庫県伊丹市立南中学校に勤務する吉野義郎教諭だ。吉野教諭は過去の勤務校で1990年に10段ピラミッドを成功さ せ、2011、12年には11段に取り組んで失敗したと話している(※2)。

吉野教諭は、自らが制作した人間ピラミッドの映像をYouTubeなどで発信するなど、その啓蒙活動にもとても 熱心だ(※3)。仕事をしながら兵庫教育大学大学院に通って組み体操を研究し、動画にも「危ないので、安易に、まねをしないで」と付記している(※4)。 ということは、今回の中学校の事故は、安易に真似をしたということになる。

なお、内田氏の計算によると、10段ピラミッドにおいてもっとも負荷がかかる生徒は、ひとりあたり3.9人分だ という。中学生で言えば190~210キロ、高校生だと240キロほどの重量をひとりで支えることになるそうだ。吉野教諭は大学院でここまでのことをちゃ んと勉強し、荷重計算したのだろうか。

また吉野教諭は11段ピラミッドに挑戦して失敗している。しかも2年連続だ。彼が本当にちゃんと大学院で学んだのであれば、荷重計算をちゃ んとして綿密にピラミッドを組み上げたはずだ。それでなぜ失敗するのだろうか。吉野教諭には、こうした事態についての明確な説明が必要とされる。 

筆者は、体育祭の組み体操事故で大怪我を負ったひとりに接触し、話を訊いてみた。

39歳の男性・Sさんが事故に遭ったのは、25年前の1990年のこと。当時、福岡県の公立中学2年生だったSさんは、3段タワーの最上部から落下し、左上腕部を骨折した。即日手術を受け、一ヶ月も入院することになったという。 

具体的な怪我は、上腕骨顆上骨折。肘関節の上の部分を折る大怪我である。しかも手術は一回では済まなかった。一度目に骨を固定するためのボルトを入れ、二 度目はそれを抜く手術だった。しかしその後、骨折が治る際に神経を圧迫し、左手の指に神経麻痺が出たという。そして、神経をずらすための3度目の手術をし たそうだ。

 なお、このとき学校の校長が親に謝罪に訪れたそうだが、すべて治療費は自己負担だった。さらに驚くべきは、Sさんの事故後、その中学校では骨折する怪我人がさらにふたり出たということだ。結果、翌年からは同校の体育祭で組み体操はなくなったそうだ。

リスクだらけの組み体操

労働災害の世界では、「ハインリッヒの法則」と呼ばれるものがある。それは、ひとつの重大事故の裏には、その29倍もの軽度の事故と、事故にはならなかったものの300倍のニアミス(ヒヤリ、ハッとする出来事)が存在するという法則だ。 

「学校体育に事故はつきもの」と開き直っていいわけではない。いかにそのリスクを低減するかということは、常に大人に求められている。ひと昔前は許されな かった運動中の水分補給が可能になったのは、熱中症のリスクが広く浸透したからだ。しかし残念なことに、高層化・巨大化して広く浸透しつつある近年の組み 体操は、こうした時代の流れとは完全に逆行している。それは重大事故の可能性を高めているだけだ。 

組み体操の事故では、過去に多額の損害賠償を認める判決も多く出ている。1990年に起きた福岡の県立高校の8段ピラミッド事故では、当時3年生の生徒が首の骨を折り全身不随の傷害を負った。このときは総額約1億1150万円の高裁判決が確定した。

また、しばしば「どうせ死人が出るまで続くだろう」という意見を目にするが、すでに死者が出る事故も起きている。1990年9月、神奈川県相模原市の中学 校で3年生の男子生徒が、組み体操の4段の「人間タワー」で落下し、他の生徒の下敷きとなって圧死した。このときは9人の教員が補助をしていたものの事故 は起き、保健体育の教員が書類送検された。被害者の両親は市を提訴し、その後に和解が成立。相模原市は謝罪と再発防止策を説明することになった。 

もちろん組み体操に限らず、運動には事故がつきものだ。しかし、だからと言ってそこで思考停止していいものでもない。ましてや、未成年者に「自己責任」な どを持ち出すのはもってのほかだ。逆に、事故が多いからすぐに廃止しろというのも極論だ。結論は、「危険なまま続ける」と「即時に廃止する」の二択ではな い。 
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組み体操が悪いわけではないがそれについて
知識もやる気もない責任を取る気も無い奴等が実施しているのが問題である。



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